編集日誌

出版社のつくり方(クラーケンの場合)【書店営業編】/クラーケン編集長日誌

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前回は主に流通ルート(トランスビュー方式を選ぶまでの経緯)について書きました。今回は、書店への営業活動について。

クラーケンが選択した流通ルートは、トランスビュー方式+Amazon直取引(e託65%契約)です。

注文出荷制の急所とFAX受注

トランスビュー方式は(Amazonのe託も)、注文出荷制。新刊でも注文のあった書店にしか配本を行うことができません。

通常の新刊は、取次が裁量で書店に配本してくれます(見計らい出荷)。書店から見ると注文していない書籍が届くわけで、いまの高い返品率(業界平均約40%)の元凶とも言えますが……。見計らい出荷が使えない立ち場になって、その良さを逆に実感しています。

なぜなら、注文出荷制ゆえに返品率は平均で10%台と低いものの、FAXを撒くだけではこちらのイメージする受注数になかなか達しないから。

この時代にFAX? と思ったみなさん。実は、出版業界はいまだにFAX受注が主流なのです。

ちなみに注文出荷制の場合、目安としては1000冊注文が来れば「けっこう来たな」という感じらしいです(最初にこの数字を聞いた時は、少なすぎてビックリしました)。

注文出荷制は営業担当が必須

そこで、重要になってくるのが受注のための営業活動。

注文出荷制で出版ビジネス(趣味ではなく、少なくとも初版3000部以上で)を行うのであれば、優秀な営業担当は必要不可欠でしょう。

クラーケンの場合は幸運なことに、協業しているケンエレファントに大手書店チェーンの書店員だったメンバーがいて、営業を担当してくれています(彼がいなければクラーケンの設立はなかったかもしれません)。

通常業務もあるので本部一括受注が中心になりますが、注文出荷制の弱点を大部分カバーできている印象です。

3〜5000部をムダなく新刊配本する

FAXで500〜1000部、営業で2〜3000部を受注。Amazonの初期発注数が500〜1000部とすると、初版3〜5000部なら相当効率の良い(ムダのない)配本が可能になります。

少なく見えますが、置かれるリアル書店は3〜400店舗程度なので(ここは500店舗程度に今後拡大したいところ)、かなり展開は派手ですし、順調に補充注文があれば即重版となります。もちろん、補充注文のための営業活動も行います。

業界人気の高いミシマ社(直取引の版元)も、初版3〜5000部くらいからスタートとどこかに書いてありました。ここから地に足をつけて着実に重版を積み上げていくのが、クラーケンの現状の営業方針です。

……次回へ続く。

執筆者

鈴木収春(すずき・かずはる)
クラウドブックス株式会社代表取締役/クラーケン編集長

1979年生まれ。講談社客員編集者を経て、出版エージェンシー・クラウドブックスを設立。ドミニック・ローホー『シンプルリスト』、須藤元気『今日が残りの人生最初の日』、関智一『声優に死す』などを担当。東京作家大学、自由大学などで講師としても活動中。

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