編集日誌

業界の片隅で立ち上がること/クラーケン編集長日誌

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明日で2017年も終わりです。通常の編集プロダクション業務をしながら出版社クラーケンを立ち上げ、2冊の書籍を刊行したので、あっという間に時が過ぎてしまいました。

▲1冊目は、WEB「アマノ食堂」の人気連載を書籍化した、夏生さえりさんの『口説き文句は決めている』。増刷したのはもちろん、発売4ヵ月で返品率3.8%という驚異的な数値を記録。

▲2冊目が、発売5日で増刷した“神童”那須川天心選手の『覚醒』。写真は天心選手とクラーケン編集部。本番は明日ですが、悲願だった地上波でのキックボクシング放送を大晦日のトーナメントで復活させるという偉業を目の当たりにして、すでに胸が熱いです。天心選手、やったってください!

返品がないと出版は楽しい

既得権益だらけの業界で新しく出版社を立ち上げるにあたり、不利な面は多大にありました。ただ、心が折れなければなんとかなることを実感した1年だったとも言えます。メンタルが大事なのは格闘技も仕事も一緒ですね。

過去の編集日誌に詳しく書きましたが、特に壁が大きかったのが流通面。そこを、トランスビューと組んで解決できたのは助かりました。利益もしっかり出ています。

トランスビュー方式は返品が圧倒的に少ないのが特徴。返品率40%(書店)や50%(コンビニ)を前提とした既存の出版とは、全く感覚が異なります。

おそらく、全盛期のライトノベル(どの作品も軒並み実売80%以上)を担当していた編集者も、こんな感覚だったのでしょう。

来年は新たな流通も模索

ただ、文芸・人文以外だとトランスビュー方式はなかなか難しいこともわかり(認知度の問題。文芸・人文以外の書店員は、直取引やトランスビューを知らない人がほとんどな印象)、2018年は一部取次との連携も模索しながら流通面を柔軟に進化させていくつもりです。

具体的には、文芸・人文はトランスビュー方式、その他のジャンルは通常の取次流通で注文分だけ出荷するなど、2パターンを併用するかもしれません。

すみっこから最高を目指して

天心選手が出演しているCygamesのCMのように、クラーケンも(業界の片隅から)最高を目指して動き続けます。2018年もぜひ、見守ってやってください。

ちなみに、2018年最初の刊行物は累計200万部突破のベストセラー作家・和田裕美さんの絵本『ぼくはちいさくてしろい』です(2018年3月7日発売予定)。復刊ですが、かわいいのでお楽しみに!

執筆者

鈴木収春(すずき・かずはる)
クラウドブックス株式会社代表取締役/クラーケン編集長

1979年生まれ。講談社客員編集者を経て、出版エージェンシー・クラウドブックスを設立。ドミニック・ローホー『シンプルリスト』、須藤元気『今日が残りの人生最初の日』、関智一『声優に死す』などを担当。東京作家大学、自由大学などで講師としても活動中。

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